2021年9月26日日曜日

ハンドメイドのマーケット 密やかな革命

 2013年にアメリカに行ったときに、ハンドメイドの需要の多さにちょっとびっくりした。

私は当時片道2時間の通勤でヘトヘトで、しかもデスクワークで身体が参っていた。その当時は、瞑想やらヨガでやっと仕事の疲れを癒していて、てっきりアメリカ人も忙しい中、静寂を求めるヨガが流行っていると思っていた。ニューヨーカーのヨガの話は結構聞いていたから。

だから、高校時代に知り合ったアメリカ人宅に行って、フェルティングや編み物、刺繍、なんてことが彼女たちのホビーだと聞いて、おや?と思った。

そんな素朴な趣味なんだ。それって70年代の日本では?と思ったのだ。アメリカって私たちより進んでいるはずだよね?と。

当時、私がヨガとハンドメイドソープにハマっていることはFacebookで先方に周知していたため、ハンドメイドソープの材料専門店に連れて行ってもらって、安いシアバターをたくさん仕入れたり、ワシントン(D.Cではない方)にあるヨガの街に連れて行ってもらったりした。しかしそこでヨガをやるよりは、20数年ぶりに出会った友人と川のほとりで話し合うことに重きをおいた。

それから8年後の現在、自粛で編み物を自分で初めてみて、あれっと思って昔マーケッターだったことも手伝ってちょっと調べてみたところ、令和の日本では実はハンドメイドが密やかに流行っている。

昔のように大量生産・大量消費の大きな波がある一方で、大きな流行りというのが世の中にはなくなりつつある、というのが現実だ。世の中にものが溢れ、ユニクロや無印で安く色々なものが買える状況がある一方で、ファストファッションはみんなと同じものなので、自分というユニークな存在を主張するために、ハンドメイドで自分を主張するという潮流ができていたのだ。

ネットにはハンドメイド作品を販売するマーケットがあり、そこではハンドメイドのセーターはもちろん、あらゆるものが販売されている。そこには世界で一つしかない、手作りのものが販売されており、編み物ももはや主婦の趣味ではなく、「本業」あるいは「副業」なのだ。

要は既製品が世に溢れ、消費されてしまったというのが端的な解釈だ。だから私たちは、みな自分の時間ができたなら、自分なりの製品を作るということだ。やっぱりアメリカが先を行っていたのだなと思う。

ちなみに、行きつけの手芸店で編み棒を買うときに、「どう、儲かってる?最近自粛で手芸が流行ってるらしいじゃないですか?」と声をかけてみると、「それがね、最近のお母さんは子供に編み物を教えられないんですよ。」とのこと。まだ彼女らは、密やかな革命を知らないのだろう。密やかな革命は実は各家庭で進行中なのだ。


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